はじめに
こんにちは。ディップでDevRelのリーダーをしている田中雄登です。ディップ Advent Calendar 2025の20日の投稿です。この記事では、ディップにとってDevRel(Developer Relations)がなぜ必要だったのか、そしてDevRelを立ち上げる過程で見えてきた学びを共有します。
DevRelというと、
- 技術広報?
- 採用担当者?
- イベント運営?
と捉えられがちですが、私たちが向き合っているのは、もう少し構造的な役割です。
ディップにおけるDevRelは、エンジニア一人ひとりの発信から生まれる「つながり」を、組織や事業、そして社外のエンジニアにとっての資産として還元することを目的としています。
エンジニアとして発信している方、これから発信していきたい方、そしてDevRelや採用、広報に関わる方にとって、「DevRelって、こういう仕事なんだ」という一つの指針になれば嬉しいです。
なお、この記事では具体的な事例については言及しません。事例についてはメンバーが執筆した、こちらをご覧ください。
自己紹介とDevRel立ち上げの背景
私は2021年にディップへ採用人事として入社し、新卒採用を軸に、人材開発・組織開発・採用広報などを横断的に経験してきました。
そんな中で2025年3月に組織編成があり、エンジニア採用と技術広報に携わることになりました。
ただ、これまでの経験から、
- 採用で得た候補者の声は、育成や組織づくりに十分に活かされているだろうか。
- 企画やエンジニアが積み重ねている挑戦や学びは、事業に還元されているだろうか。
- 広報として発信される言葉は、組織の実態や思想と、きちんとつながっているだろうか。
それぞれが価値のある活動である一方で、つながらないままでは、点として消費されてしまう。この 「つながり」を、持続的な価値に変えたい。
そんな背景から2025年4月、私たちの活動をDevRelと再定義し、エンジニアを起点に「つながり」をつくり、それを資産として還元するチーム”DevRel” が立ち上がりました。
技術広報でも、採用担当でも「ない」けれど
ディップにとってのDevRelは、技術広報の担当者でも、採用担当でもありません。一方で、技術広報や採用に力を入れないとDevRelは成立しない、というのもこの1年間で実感してきたことです。
なぜなら、 「発信」と「採用」は、つながりを生み出すための最初の、そして最も重要な起点 だからです。実際、ディップのDevRel活動も、この1年間は「発信」と「採用」を中心に取り組んできました。それは短期的な成果を狙ったからではなく、 構造をつくるために、まず必要な入口だったからです。
そんなディップのDevRelがこの1年間を通じて合ってきたのは、一人ひとりのエンジニアの発信です。
技術的な挑戦、失敗、学び、迷い。それらは本来とても価値のあるものですが、放っておくと「点」として消費されてしまいます。DevRelの役割は、それを代わりに語ることではなく、どうすれば、その発信が次につながるかを一緒に考えることです。
たとえば、
- その経験は、どの視点から語られているのか
- なぜその判断をしたのか
- 他職種や社外の人が読むと、どこが分かりにくいか
そんな問いを通して、発信者自身の思考や視野が少しずつ整理されていきます。
発信を「消費」させず、「文化」に育てる
しかし、良い発信が増えても、それが単発で終わってしまえば、組織の文化にはなりません。
だからこそ、私たちは一人ひとりの発信を
- 点から線(エンジニアとエンジニア)
- 線から面(エンジニアとプロダクト組織)
- 面から立体(プロダクト組織と事業)
そして社外のエンジニアや、ユーザー、クライアントへと、少しずつつないでいきます。
過去の取り組みと今の挑戦が結びつき、複数の事例から共通する考え方が見えてくる。それが 「この組織らしさ」として伝わるようになったとき、初めて文化が生まれます。
「文化」を軸に、どうやって「つながる」のか
組織の中で育った文化は、そのまま外に出せば伝わるわけではありません。社内であっても、企画、営業、人事、エンジニアでは前提や知識量が異なりますし、社外のエンジニアやユーザー、クライアントも同様です。
私たちは、その 違いを前提に、同じ中身を、相手に合わせて翻訳する役割を担っています。
- 初めてディップを知る人には、世界観として
- 入社を検討している人には、判断材料として
- プロダクトチームには、共通言語として
「つながり」を、意味のある形で届けていきます。
そうして生まれたフィードバックは、また次の構造づくりに活かされます。応募理由や辞退理由、入社後のギャップ。そこには必ず、「伝わり方」のヒントがあります。
DevRelはそれらを拾い上げ、発信や構造にフィードバックしていきます。 ズレを調整し続けることで、文化やつながりは更新されていきます。
ディップのDevRelに期待される成果
まだ私たちは理想に向かって活動を始めたばかりで、明確な成果を語れる段階ではありません。ただ、採用と広報を起点に1年間活動する中で、次のような変化を感じています。
- 発信は、個人の経験から学習資産へ
- つながりは、一時的な接点から組織の資産へ
- 成果は、属人化から再現可能な構造へ
採用担当者でも、広報担当者でもない。けれど、 点と点になっている活動を翻訳し、「つながり」をデザインする旗振り役。
ディップにおけるDevRelは、この 「つながり」を育て、プロダクト組織だけでなく、事業や社内外のエンジニアにとっても価値ある形で還元していくことが、存在意義だと考えています。
2025年は、エンジニアの「採用」と「発信」を起点に活動してきました。来年は、プロダクトづくりや事業そのものに、どうやってこの「つながり」を還元していけるかにも挑戦していきたいと思います。

